ずっと家賃を払い続けるのはもったいない。
持ち家のほうが得という話はよく耳にします。
今回は、賃料の構成要素から、
持ち家が賃借を継続するよりも”得”なのかについて考えます。
不動産投資における一般的な経費率
投資物件の価値は、その物件を保有することにより得られる
純収益により計算されます。
純収益とは、すべての収益(総収益)から
すべてのコスト(総費用)を差し引いた手残りです。
住宅系不動産の標準的な純収益は、築浅物件で総収益の
70~80%、築年が経過すると60%程度です。
つまりコストの割合(経費率)は大体20~40%になります。
経費率からみた賃料の構成要素
収益の源泉は入居者の賃料ですので、
上記の標準的な経費率から賃料の構成要素を考えると
下記のようになります(月額賃料10万円と仮定)。
月額賃料10万円=
オ-ナーの利益:6~8万円(60~80%)
+ 保有・運営コスト:2~4万円(20~40%)
これが何を意味しているかというと、
賃借して住んでいる場合、
自分で保有している場合に比べて、
6~8割高いコストを支払っている
ということになります。
持ち家のほうが”得”?
上記の計算からお分かりの通り、
今賃借している家を基準に考えた場合、
持ち家の方がコストが抑えられる可能性が高い
というのは真実です。
但し、
”今賃借している家を基準に”考えた場合、
持ち家の方がコストが抑えられる”可能性が高い”
としたのは、
持ち家に住む
=間取りが固定され自由が効かない
=立地するエリアの栄枯盛衰に左右される
=天変地異のリスクを負う
=(一般的には)多額の負債を抱える
などの特性やリスクがあるからです。
(持ち家のリスクは改めて整理します。)
住宅販売の営業でよく聞く、
「家賃はもったいない。持ち家の方が得ですよ」
というお話は、半分真実で、
半分は持ち家の特性やリスクを捨象して議論しています。
賃料の構成要素を考えると、
賃貸は損な気もします。
他方で完全雇用が失われ、
変化の激しい現代社会において、
リスクを負わないという観点では
魅力的な選択肢です。
結局、個人個人のライフスタイルを前提に、
何をもって”得”と考えるかによって、
結論は変わってくるのではないでしょうか。
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